アイドルは神話である


実在しなくてもいいもの。テレビや写真集の中、ファンの空想の中だけに存在するもの。であるからには、完成された、完璧なものであってほしいし、そうあるべき。


こういった「実在不要論」の立場に立つと、実際アイドルとは、まさにある種の「物語」であり、「神話」であるといえそうです。


で、ここで神話派にとって、最も重要なのはそれが「完成されたものである」という点。理想であり憧れであり手の届かないもの、そういったものには、常に完璧を求めるし、変な姿はみたくないと考えます。


ところが、そんな神話派の「想い・願い」に真正面から反するのが現在のアイドルの主流である「親しみやすさ路線」。ファンに身近な存在であること、普通の女の子であることなどを過度にアピール。具体的な手段としては、ほとんどのアイドルがやってる「ブログ」と「イベント」があげられます。そして、この2種を最も嫌うのが「実在不要派」。


ブログで、日常生活はじめ、家族や学校のネタなど、中途半端に公開されてる情報に接することで、要らないことまで知っちゃう。イベントで、本来空想上のものであるはずのアイドル本人に直接対面しちゃう。これらのことは、神話派にとって一種のタブーであるわけです。


では、神話派が望むものとはなんでしょう。それが「DVD」と「写真集」であるのは言うまでもありません。まさに「完成された作品」であるこれらに触れることこそが「面白い」のであり、裏を返せばこれ以上は何もいらないといえます。


ただし、DVDに関しては、最近流行の「特典映像」が不要。ようするにメーキング。イメージDVDでいうと、まさに素の姿であったり、NGシーンであったり、食事シーンであったり、寝起きだったり。もう、まったく要らない。


また、歌手DVDであれば、完成されたコンサートという作品だけが見たいのであって、まさに「ステージ上のパフォーマンス」が全て。どうでもいい「バックステージ映像特典」だの「コンサートまでの密着」だの、裏的なものは一切不要。


この点、写真集は、まさにそれ自体が一冊の「完璧に作り上げられた作品」であるので安心して見られるというわけです。――― 残念なことに、最近は写真集にすら付録として「メーキングDVD」なんての付いて来るのが増加・・・


最後に、神話派的見地から「嫌いなもの」2つを上げてみます。1つは「アイドル育成モノ」であり、もう1つが「下手クソな歌手アイドル」。


まず、育成が嫌いです。理由は、完璧なものを求めるからです。百歩譲って、たとえ完璧じゃなくても、せめてある程度「形」になっててほしいからです。この点、育成系肯定派の「アイドルは、はじめからうまくある必要はない、その成長過程を楽しむもの」という考えと、大きく相違。


とにかく、そんなわけで、よくCSとかの番組である、事務所主催の「イベント」「コンサートもどき」の模様の放送は、まさに「お遊戯会」だか、「ガキのカラオケ大会」だかとしか言いようがなく、そんな低レベルのものが嫌い。中途半端な完成度のものを、金を取ってファンに見せるのが嫌だし、一方で、そんなのを喜んで受け入れ、抵抗なく金を払うファンも嫌。まさに甘やかしの共犯。


で、そんなだから、ファンは作り手になめられバカにされ、いいようにぼったくられる。タレントも、レベルの低いパフォーマンスしかできないのに、閉ざされたマイナーな空間で固定ファンに褒められ熱狂されチヤホヤされることで有頂天になり、しかしやがて年食ってくると相手にされなくなり消えていく。


また、それら放送に際し、必ずといっていいほど「練習風景」を見せるのも、我慢ならない。練習中に泣いている子がいたりする、「わたしたちは、こんなに一生懸命やってるんですよ」的なドキュメンタリー構成は不快の極み。


後者「歌が下手なアイドル歌手」は、単純に「2nd!?」と思いました。